「年上の2匹のうり坊は、父イノシシと一緒に東側に侵入していましたよね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「今回は、なぜ、西側から侵入したのでしょうか」と町会長。

「東側に30本ほどの孟宗竹が積んであったので、あまりの陰の強さに東側に近づくことができなかったのだと思います。」

「なるほど」と町会長。

「それに加えて、西側は1番下のうり坊が侵入しやすいように手を抜いたままだったのです。」

「それでは、西側の孟宗竹の向こう側には侵入していたが庭には侵入できないという状態が続いていたのですね」と町会長。

「2匹のうり坊が西側に来ていたことは確認はしていませんが、黒く被覆した針金を張ってからは、そういう状態が続いていたのだと推定しています。」

「渡辺さんは、イノシシが西側の孟宗竹の向こうにいたり、栗林の中にいても気にしていないのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。夜遅く卓球場に行くときに、イノシシが吠えて餌場としてのテリトリーを主張したときには、夜中でも吠えた方向に向かっていきますが、吠えて威嚇しなければ、そのままにしておきます。」

「吠えて威嚇してくる場合は、見えないイノシシの方向に向かっていくのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。父イノシシの場合、4、5回そうやってみたら、以後、吠えなくなっています。」

「武器は何を持っていくのですか」と町会長。

「雨の日に卓球場に行くためのコウモリ傘が備えてあるので、それを持っていくことが多いです。」

「傘1本で何とかなるものですか」と町会長。

「イノシシが攻撃した来たとき、動きを見極めて、急所に突き刺せば何とかなると思いますが、棒術系でない人はやめておいた方が無難だと思います。」

「渡辺さんは、イノシシが栗林を自分のテリトリーとして主張するのは許さないのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。それを許すと、息子が夜中に卓球場に行くときに吠えられることになるからです。」

「なるほど。ところで、年上の2匹のうり坊はその後どうなったのですか」と町会長。

2021/12/10

<水道後記83>
そこで、ツルハシを納屋から持ち出して、レンガのように硬い表面に打ち込んだら表面の硬い土が砕け散った。シャベルで掘った時にはレンガのように硬いと思ったが、レンガほどは固くなくて、表面から10センチほど下の土にはかすかな湿り気もあった。

ツルハシというのは、ブルドーザーがなかった頃道路工事に使った、ピッケルを大きくしたような道具だ。筆者が使ったのは、バチヅルと呼ばれるタイプのツルハシで、刃の一方は30cmくらいの長さで先に行くほど細くなり、先端が尖っている。反対側も30cm近くの長さがあり、刃先が平べったくなっている。刃先の幅は7cmほどだ。総重量は3キロくらいある。

表面の硬い土には、ツルハシの柄の端の方を両手で持って頭上に振り上げ、尖っている先端を打ち込む。シャベルではどうにもならない表面の硬い土に打ち込むことができる。『水道工事はこれでするしかない』と強い夏の日差しの中で決意した。<続く>

2024/11/26